XFLRとXROTORを用いたプロペラ設計
こんにちは まるけーです
「 桁設計の話じゃねーのかよ」とか突っ込まないでください。ええ、プロペラのお話です。プロペラ設計に関しては資料まとめてあったんで書きやすかったんです。基本的な用語であるレイノルズ数、揚力係数、抗力係数などは解説しませんのでご了承を。
ブログも書きなれていませんし、のらりくらりと書いていきます。何回か編集すると思います...
注意:本ブログに従い設計を失敗しても責任は持ちません
なぜXROTORなのか?
人力飛行機のプロペラ設計の手法は大きく分けて2つ、自作プログラム、XROTORこの2つでしょう。私が現役のときに交流会で色々なチームに聞いて回ったところ7:3ほどの割合で自作プログラムで設計しているチームが多かったです。
新規のチームは新しく設計プログラムの作成および、検証をするほどの余裕は無くXRTORに頼っている印象でした。本ブログはまるけーの暇つぶしと人力飛行機初心者?のために書いてあるので入門に最適なXROTORでの設計について解説したいと思います。
設計の基本的な流れ
設計の大まかな流れは下のようになります
1.設計諸元の決定
2.XFLRを用いて翼型のデータ取得
3.Excelを用いてデータの整理
4.整理した翼型データをXROTORに入力
5.XROTORにプロペラの設計諸元を入力
他にもプロペラに桁を通す場合翼厚や荷重分布を出さなければいけませんがここでは割愛します。
設計諸元の決定
まず、設計するにあたってほぼ変更できない点がある。要求推力、前進速度そして回転数である。要求推力は全機抗力が決まればプロペラ設計からは変更のしようがない。前進速度は機速、回転数はパイロットの漕ぎやすい回転数と駆動系のギア比から自ずと決まってしまう。
残った決定すべき諸元が使用する翼型とプロペラの長さである。翼型は自作の翼型を除けばDAE51もしくはSD7037がよく使われる。そしてプロペラ長さだが、一般にプロペラは長ければ効率は上がる。しかしながら、長くするとプロペラの局所レイノルズ数が低下することからある長さで効率は最大となる。
XFLRを用いて翼型データの取得
XFLRを用いなくても 翼型データの取得は様々な方法があり、公開されている風洞試験の結果を用いる、CFD解析結果を用いるなどの方法がある。それぞれメリット・デメリットを挙げると、
[風洞試験]
メリット:NACAが実験していたりするので結果に対してある程度信頼が置ける
デメリット:データ数が少ない。設計に必要なレイノルズ数の範囲のデータが無かったりする。自作の翼型が使えない。
[CFD]
メリット:自由に解析の範囲を決めることができる。任意の翼型を使える。
デメリット:ソフトが高い(Fluentとか200万円以上)、乱流モデルやソルバの選定が知識をかなり必要とする。
[XFLR]
メリット:自由に解析の範囲を決めることができる。任意の翼型を使える。フリーソフトであり、解析の設定も比較的容易。
デメリット:バグが多い。失速域での信頼性が乏しいらしい..
以上のことから、このブログではXFLRで翼型データを取得します。XFOILでもいいのですがGUIのほうがわかりやすいと思ったのでXFLRにします。
上の図のようにソフトを起動し,file-openから解析する翼形の.datファイルを開く
ここでAnalysisからMulti-threaded batch analysisで連続解析を行うか、Define an analysisで必要なレイノルズ数のデータを採取する。
解析が終わりデータが出たら次の図のようにPolars->Current Polar->Exportでデータを保存する。
解析結果はdatファイルで出力されるのでExcelにコピペで貼り付ける。
Excelを用いてデータの整理
まずデータのXROTOR内の取り扱いについて簡単に説明すると、揚力係数とalpha(迎角)の関係を一次関数とみなし、揚力係数と抗力係数との関係を二次関数と近似することによりデータを扱っている。
XROTORに入力しなければいけないデータは次の13個のデータである。
(1)zero-lift alpha (deg)
ここは揚力係数がゼロになる迎角を度数表記で入力する。
(2)d(cl)/d(alpha)
ここは失速状態にないと迎角(rad)を一次関数とみなし近似して一回微分した値つまり、傾きを入力する。
(3)d(cl)/d(alpha)@stall
ここは失速状態の揚力係数と迎角(rad)を一次関数とみなして近似して一回微分した値を入力する。しかしながら、デフォルトで入っている値のままでも問題はないのでわざわざ解析する必要性はない。
(4)maximum cl
失速前に取る揚力係数の最大値を入力する。
(5)minimum cl
失速前に取る揚力係数の最小値を入力する。
(6)cl increment to stall
失速後に上昇する揚力係数の最大値。わざわざ解析する必要はなく、デフォルトの値で問題ない
(7)minimum cd
関数の近似精度をより高めるためにまず最初に抗力係数と揚力係数のグラフを(4)と(5)で求めた揚力係数の最大値と最小値の間で二次関数で近似しその関数の頂点つまり近似関数上でのの最小値を入力する。
(8)cl at minimum cd
(7)で求めた近似関数の抗力係数の最小値をとる際の揚力係数の値を入力する。
(9)d(cd)/d(cl**2)
(7)で求めた近似関数の二回微分の値を入力する
(10)reference Re number
データのレイノルズ数を入力する。
(11)Re scaling exponent
デフォルトの値のままで問題ない。
(12)Cm
デフォルトの値のままで問題ない。
(13)Mcrit
デフォルトの値のままで問題ない。
以上の値をエクセルの最小二乗法近似などを用いて求める。
XROTORへの翼型データの入力
XROTORのAEROメニューで、解析したデータを入力する。この時NEWのコマンドでセクション分けだけをしておいて、セーブしておいたtxtファイルに直接書き込む方が早い.ただしファイル内の桁や小数点の位置を変えてはいけない。下にtxtファイルの例を示す。
入力し終えたらXROTORのコマンドでtxtファイルを読み込ませる。
XROTORでのプロペラ設計
設計するプロペラの情報を入力する。XROTORのトップからDESIメニューに行きINPUコマンドで情報を入力する。ここで最も重要となるのは揚力係数の値である。基本的に揚力係数の値が大きくなるほど翼素の翼弦長は長くなる強度や失速特性のことを考え性能と両立できる範囲での値を入力することが大切である。
揚力係数の値の入力方法について解説する。入力方法は3通りあり、1つ目はプロペラ全体で同一の値を入力する方法である。これはINPUでの入力の最後にCCと打つことで変更できる。2つ目はプロペラの根元と先端二箇所での値を指定するものでCLと打つことで変更できる。最後はプロペラの各部分での値を連続的に指定するものであるCXとコマンドを入力すると設定画面が出る.Enterやクリックをすると座標平面ないにてプロペラの各部分のの値が入力できる。入力が終わったら同じ座標を三回入力すれば終了する。なお入力していない部分は線形補完される。
まとめ
以上の手順で何度も設計をやり直し、求める性能や形状になるように設計を煮詰めていく。
個人的には揚力係数の分布を決めるのが一番難しいと思ういまだによくわからん
以上で説明を終わります。間違ってたらコメントください。